第48話 夢野博士の大秘密 

監督/服部和史  脚本/曽田博久  放映日/1984年1月7日

カー将軍による人類抹殺作戦に、思わぬ手違いが起きた。毒ガスの中にレトロ遺伝子が紛れ込んでいたのだ。
その遺伝子の中には、有尾人の尻尾を増やす作用があることも分かった。
だが、なぜかレトロ遺伝子を含む水滴が急に止まってしまったのだった。

グランギズモでは、帝王アトンが上機嫌でいた。
地上征服を成功させて始めて、十本尻尾になれると信じていたところ、幸運にも十本尻尾になれるときがやってきたのだ。
アトンは、自分が十本尻尾になった暁には、臣下たちにも尻尾を増やしてやると言うのだった。
だが、ゼノビアは、自分も十本尻尾になることが出来ると、ほくそ笑んでいた。

ダイナマンたちはダイナステーションで、持ち帰った地下水のサンプルを分析していた。
その結果、地下水の中にレトロ遺伝子が含まれていることを発見した。
今から15年ほど前、遠山博士という人物が人工的に作り出した遺伝子だった。
ダイナマンたちは遠山博士を探し出すことにしたが、当の遠山博士はレトロ遺伝子を持ち出したまま姿を消しており、写真一枚すら手に入れることが出来なかった。
弾たちが夢野博士がいてくれたら・・・とため息をついていると、レイが弾んだ声で戻ってきた。
レイは遠山博士に当時絵描きの卵だった恋人がいたことを突き止めていた。
その様子を窺うキメラに気づいた弾は、石を投げつけて追い払った。
遠山博士の彼女だった家に行くと、あいにく彼女は既に他界していた。だが、絵はずっと大切に保管されていると言う。
彼女の母親について家へ上がろうとしたダイナマンだったが、一足遅く、ダークナイトが絵の入った箱を持って家から飛び出してきた。
ダークナイトを追いかけるダイナマン。だが、ブーメランジャッカルのブーメランが飛んできて、キメラに絵を奪われてしまう。
5人はダイナマンに変身し、キメラたちと戦おうとする。だがそこへカー将軍が高笑いと共に現れた。
その威力にダイナマンもダークナイトも一瞬ひるむ。その隙を突いてキメラたちが逃げ去ろうとするが、ブラックがブラックブーメランで絵を奪い返そうとした。
レッド、ブーメランジャッカル、ダークナイトの3人で絵を奪い合おうとするが、弾みで箱のふたが開き、中に入った絵が飛び出した。
その絵に描かれていたのは、若き日の夢野博士だった。驚くダイナマンと、眼を見張るカー将軍たち。
ダイナマンはスカイハイで、絵を持ってその場から退却した。

ダイナステーションでは、絵を前に愕然とする5人の姿があった。
絵の裏には「遠山博士に捧ぐ 美帆」という文字が書かれてあり、夢野博士が遠山博士と同一人物であることは間違いがないようだった。
裏切られたと嘆く南郷を、弾が耳を治したのは博士だろうと諭す。
南郷は聞いて回った遠山博士の像と自分たちの知っている夢野博士の像との間に違いがありすぎると混乱していた。
どこへ行ったのか、と考える弾の脳裏に、大滝山周辺の洞窟でレトロ遺伝子を含む水滴が滴るのが止まったことが思い出された。
あれは夢野博士が止めたのではないだろうか。大滝山のどこかにレトロ遺伝子の手がかりとなるものがあるはずだ。
5人は、もう一度大滝山に戻ることにした。

大滝山を探索する5人。レイと南郷は探査機を使って調べているが、星川は耳を地面に近づけて、地下を流れる水の音を捉えていた。
そして、星川の耳が水の流れる場所を発見。その場所へと急行する5人。
洞窟の入り口を見つけた5人はその洞窟へと入っていった。
洞窟内ではヘルメットにガスマスクを付けた何者かが作業をしていた。
その何者かがガスマスクをはずすと、その顔は夢野博士だった。
夢野博士に近寄ろうとする5人を夢野博士が制止したそのとき、岩盤が崩れ落ちた。
外では、岩盤を崩落させたゼノビアとダークナイトが高笑いしていた。
ゼノビアは、夢野博士を遠山博士と言いなおし、レトロ遺伝子を渡せと要求した。さもないとダイナマン共々野垂れ死にすると。

洞窟の中では、5人が夢野博士に近寄っていた。そして、夢野博士がレトロ遺伝子を処分しようとしていたことを確認した。
夢野博士は15年前にレトロ遺伝子を処分した。だが、ドクガスイタチが撒き散らした毒ガスにレトロ遺伝子が紛れ込んでいたことに気づいた。
ボンベから遺伝子がもれ、それが地下水に浸透、ドクガスイタチのマグマ池に入ったのだろうと。
南郷はたまらず、何でこんな恐ろしいものを作ったのかと詰問した。
夢野博士は、若かったと述懐した。世界中をあっと言わせるような、生命工学の発明をしたかったのだと。
だが、ジャシンカの手先のスパイ組織に狙われ、そのときに博士はかけがえのない人=恋人を失ってしまったのだった。
初めて人を愛するということを教えてくれた恋人を、自分の研究成果が殺してしまった。
どんなに自分を呪ったか。博士は大滝山の奥深くにレトロ遺伝子を処分、そして遠山と言う名を捨て、夢野と名乗ることにしたのだった。
ジャシンカと戦う準備をしつつ、子どもたちと夢のある発明をすることによって、罪滅ぼしをしたかったのだ。
夢野博士は、全てを話し終え、こんな自分の下でも戦ってくれるかと5人に訊ねた。5人の返事は聞くまでもなかった。

洞窟の外ではダークナイトとゼノビアが控えていたが、何かの気配を察知したのかダークナイトは何も言わずに姿を消した。
現れたのはカー将軍たちだった。前回といい、今回といい、なぜゼノビアがレトロ遺伝子のあるところにいるのかといぶかしむカー将軍。
自分が十本尻尾になろうとしているのではと疑念を抱くカー将軍に、ゼノビアはアトンに一刻も早く十本尻尾になってもらうためだと反論するのだった。

洞窟の中では、ボンベにレトロ遺伝子を入れ終わった5人が夢野博士に処理の仕方を聞いていた。
高熱、ニュースーパーダイナマイトのような高温で処理するしかないという夢野博士に頷く5人。
博士の身の安全をレイと南郷に託し、弾と星川、島の3人でレトロ遺伝子を守りぬくことを決めた5人はダイナマンへと変身。
ダイナロッドで洞窟の入り口をふさいでいた岩盤を吹き飛ばす。
レッドたち3人がマッハダッシュでカー将軍たちの脇を駆け抜けていく。
カー将軍はそれをキメラたちに追わせた。
レトロ遺伝子を運び去ろうとするダイナマンだったが、一度はブーメランジャッカルに奪われてしまう。
ジャシンカとダイナマンとの間でレトロ遺伝子の争奪戦が始まる。

争奪戦の終盤、レッドがわざとブーメランジャッカルにレトロ遺伝子が入ったボンベをパスする。
そこへニュースーパーダイナマイトが炸裂、ブーメランジャッカル共々レトロ遺伝子は消滅した。

グランギズモではアトンが怒り狂っていた。
レトロ遺伝子を夢野博士が作ったと分かった以上、何が何でも十本尻尾になってみせると息巻いていた。
その傍らではゼノビアが不気味にほくそ笑んでいた。
ゼノビアの背後で糸を引くダークナイトも含め、ダイナマンの戦いも風雲急を告げるのだった。

コメント…

話が前回から続いているため、珍しく前回のあらすじから始まります。といっても、大雑把すぎるほどのあらすじですが。
夢野博士の過去が明らかになります。まさか名前が偽名だったとは。
当時の偉大な発明が、後の世になって悪に利用されることは、よくあること。
今思うと、32話「消えたパワーガン」で、夢野博士が「ダイナマイトを発明した人が…」と言う下りは、もしかしたら自分に対する戒めでもあったのかな、と感じます。
それにしても…。緊張感のないレトロ遺伝子争奪戦は、この頃の作品の特徴ですね。
レッドに「パス!」と言われて、素直にパスしちゃうブーメランジャッカルが可愛いです。
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