第45話 ママはゼノビア? |
監督/東條昭平 脚本/曽田博久 放映日/1983年12月10日 |
弾はバイクでパトロールをしていると、道端に落ちていたスケッチブックを拾った。 スケッチブックの裏表紙には小学校名や名前、住所が書かれていた。 スケッチブックの持ち主は小学1年生のミドリという少女だった。 何気なくそのスケッチブックをめくった弾は、そこに描かれている絵に引き込まれた。 子どもが描く母の絵に弾はつい感傷的になってしまうのだった。 だが、その絵の中に弾はとんでもないものを見つけてしまった。 ジャシンカのマークのペンダントをつけた母の絵がそこにあったのだった。 一軒家で洗濯物を取り込んでいる女の子に、弾は声を掛けた。その女の子こそがスケッチブックの持ち主のミドリだった。 「ママは?」と訊ねる弾に、ミドリは「ママは死んでしまった」と答える。 悪いことを聞いてしまったと謝りながら、弾は部屋の中に置かれた家族写真に目を奪われた。 そこにはゼノビアにそっくりな女性が写っていたのだ。 ミドリは弾の手を引きながら、いつも会っているという場所へ連れて行った。 弾はミドリが母親そっくりの女性に出会い、絵を描いたのだと考える。 そこへその女性が現れた。 弾はその女性を見て目を見張った。まさしくゼノビアだったのだ。 思わず身体を乗り出す弾に、ミドリは、あの人(ゼノビア)にママになって欲しいと懇願する。 弾は戸惑いつつも、ミドリを家に帰し、自分はゼノビアのところへと向かった。 自分の前に現れた弾に驚いたゼノビアはレインボーカメレオンと尻尾兵を差し向けた。 弾はレッドに変身して尻尾兵を迎え撃つ。 ゼノビアがビルギスを引き連れて退散しようとするのを、レッドが止めようとするがレインボーカメレオンに阻止される。 今回のジャシンカの作戦は「悪魔の虹作戦」だった。 悪魔の虹とはマグマの虹。基地で吸い上げたマグマエネルギーをレインボーカメレオンによって虹に変換。 これを虹発生器で巨大な虹を作り出し、地上へとその虹をかける。 その虹は地上で再びマグマに戻り、灼熱のマグマを地上に降り注がせるのが目的だった。 ゼノビアは地上へと出てきたが、なぜ弾が人間に化けた自分を見破ったのかをいぶかしんでいた。 そんなゼノビアのもとへ、一枚の写真が飛んできた。その写真には自分と瓜二つの女性の姿が写っていた。 写真を投げつけたのはダークナイトだった。 ゼノビアはダークナイトに敵なのか、味方なのか、と問いただす。 ダークナイトもゼノビアに、本当にアトンに忠実な僕なのかと揶揄する。 昔、王位を狙った女将軍が今の地位に甘んじているとは思えない、と指摘するダークナイトに、思わず声が上ずるゼノビア。 ダークナイトとゼノビアは対決するが引き分けに終わってしまう。 ダイナステーションでは、マグマエネルギーの異常な高まりと、レインボーカメレオンの虹にマグマ成分が含まれていることを分析していた。 それらの関連を疑った夢野博士はダイナマンたちに捜索を命じた。 ダイナマンたちがその山へと駆けつけると、その山で作戦遂行中だったキメラがゼノビアにその旨を報告。 慌てるキメラとは対照的に、ゼノビアは「慌てることはない」と余裕の笑みを浮かべて見せた。 下校途中のミドリに一台の車が近寄っていった。 その車の中から人間に化けたゼノビアがミドリに声を掛ける。 やさしい声でミドリに車に乗るように促すゼノビア。 虹発生器を見つけたダイナマンたちはその傍へと駆けつける。 だが、キメラがその前に立ちふさがり、ミドリを人質に取ったことを告げ、変身を解除してやって来るようにと脅す。 レッドはミドリを救出するべく駆け出していった。残された4人はアジトを目の前にして、と悔しがる。 夢野博士は通信で、あとは自分に任せて、ダイナマンはミドリの救出に当たるように命令した。 弾は人間に化けたゼノビアが、ミドリに自分の絵を描かせているところを目撃した。 このままでは手が出せないとヤキモキする弾。 ゼノビアはミドリの描いた絵を見ながら、他人の子とは思えないと涙をぬぐって見せた。 同じように人間に化けたビルギスが、ゼノビアにもミドリと同じ年の子どもがいたのだが亡くなったのだとミドリに教える。 涙ぐんでいるゼノビアを見たミドリは「ママと呼んでもいい?」と訊ねる。 ゼノビアはうれしそうに頷いて見せた。 「ママ」と呼ぶミドリを引き寄せ、傍に弾がいることを気づきながらしっかりと抱きしめるゼノビア。 だが、ミドリはゼノビアの思惑とは裏腹にもっともっと絵を描くと言って、ゼノビアの傍から離れてしまう。 その隙を逃さず、弾はミドリを助けるべくミドリに飛び掛った。 同時に尻尾兵によって銃弾が乱射され、キメラまでもが現れた。 ゼノビアは果物ナイフを弾に投げつけ、そのナイフで弾は腕に傷を負ってしまう。 弾ともみ合うゼノビアにミドリは「ママやめて!」と叫ぶが、ゼノビアには届かない。 窮地に立たされた弾に、再び銃弾が打ち込まれようとしたとき、他の4人が駆けつけてきた。 ゼノビアがその正体を明かしたことで、ミドリもその女が母親ではなかったことに気づき、スケッチブックを投げつけた。 ミドリの涙に、弾は怒りを爆発させるが、あと30秒でマグマの虹が掛かるとゼノビアは宣告するのだった。 アジトではマグマの虹を発生させるためのカウントダウンが行われていた。 だが、オートコントロールで飛ぶダイジュピターが出現、アジトを木っ端微塵に吹き飛ばした。 レインボーカメレオンはゼノビアにアジトが破壊されたことを報告。 ゼノビアは悔しがり、レインボーカメレオンたちにダイナマンたちの抹殺を指示。 ダイナマンたちとジャシンカの戦いが始まった。ミドリを家へ帰した後5人は変身して戦う。 レインボーカメレオンのレインボーカクテルに苦しめられるダイナマン。 ダイナキックもかわされ、カメレオン6色爆弾で苦しめられる。 ロッドファイアーで形勢を逆転したダイナマンはニュースーパーダイナマイトとダイナロボでレインボーカメレオンを撃退した。 弾はミドリと手をつないで公園へと出かける。 そして弾はミドリに自分にも母親がいないこと、どうやって寂しさを克服したかを諭し、ミドリもそれに応じたのだった。 |
コメント… |
珍しく、弾さんのモノローグで始まるエピソード。 母親の絵が描かれたスケッチブックがきっかけで、ゼノビアの企みを寸前で阻止します。 今回ほど、ある意味で残酷なエピソードはないな、と感じました。 悪の幹部とはいえ「ママ」と慕う少女の心を踏みにじるゼノビア。作戦のためには優しい笑顔を浮かべることができる、その悪賢さにぞっとさせられます。 ところで、母親の記憶がない弾さんと、母親の記憶があるミドリちゃんを一緒にしてはいけないような気がするのですが…。 逆ならば、ラストの説得にも説得力があると思うのですが、母親の愛情を全く知らない大人が言うことじゃないよなぁと感じてしまいました。 |