第42話 挑戦ダークナイト 

監督/堀 長文  脚本/曽田博久  放映日/1983年11月19日

深夜のグランギズモ内。寝入っている帝王アトンのそばには帝王剣がある。
突然、アトンの寝所内で爆発が起き、警護していた尻尾兵たちが驚きの声を上げる。
アトンも飛び起き、何事かと周りを見渡す。
すると、アトンの寝所内に見慣れない仮面の男が入ってきた。
仮面の男は帝王剣を奪うことを高らかに宣言し、寝所から去って行った。
寝所内には、アトンの大声を聞きつけてカー将軍、ゼノビア、キメラ王女が駆けつけた。
皆、現実に起きたことが信じられず、動揺を隠せない。
アトンは怒り心頭に発し、帝王剣は9本尻尾の帝王の証であるとして必ず取り戻すようにと命令を下した。

明るい地上では、南郷が辺りの様子を窺いつつ、「松山」との表札が出ている家の門柱に植木鉢を置いていた。
南郷が隠れて様子を見ていると、帰宅してきた松山家の姉弟がその植木鉢を見つけた。
姉の方は届いている花がガーベラだとして喜んでいるが、弟の方は浮かない表情。
姉はガーベラの花言葉「一致協力」を持ち出して、姉弟協力して生きていくようにというメッセージだと弟に諭す。
だが、弟は「余計なお世話だ」としてさっさと家に入ってしまう。
南郷は何度となく花をプレゼントしているようで、姉は花言葉での励ましのメッセージだと受け取っていた。
弟ーカズオは不貞腐れたように聞いていたが、突然植木鉢のひとつを投げつけて割ってしまう。
カズオが欲しいものは、同情じゃない、有尾人をやっつけて両親の敵をとることだと言って飛び出していった。
その様子を苦しげに見守っていた南郷の元へ、突然、怪しげな剣が飛んできて地面に刺さった。
剣を見つめる南郷の元へ、尻尾兵とメカシンカを従えたキメラが現れた。
キメラが剣を返すように南郷に言うが、南郷はその剣がジャシンカにとって大切なものだと悟り、迷わず剣を引き抜いた。
尻尾兵たちがキメラの命令で南郷に襲い掛かる。
南郷は剣を構えて迎え撃とうとしたが、まばゆい閃光とともに辺りが爆発、一撃で尻尾兵を蹴散らしてしまう。
その威力に驚く南郷。さらにメカシンカ、マサカリベアーが投げつけた大きな岩さえも一撃で砕いてしまった。
マサカリベアーと変身もせずに対等に渡り合える剣に、南郷は「すごい武器が手に入った」と喜ぶ。
そこへ、ダイナマンの他の4人も駆けつけ、形勢不利と見たキメラはマサカリベアーとともに一旦引いた。
南郷はその剣でカズオの両親の敵を取ってやると決心するのだった。

グランギズモでは帝王剣が南郷に渡ったことをキメラが報告していた。
謎の指令が指定する場所へ赴いたところ、すでに帝王剣は南郷が持っていたとキメラは報告。
カー将軍は、帝王剣を盗んだ曲者が南郷に帝王剣を与え、それを自分たちに教えたことになると分析。
そこへ、尻尾兵がゼノビアに南郷からの果たし状だと一枚の紙きれを持ってきた。
ゼノビアがそれを受け取ってみると、南郷が正午に万年山千石が原で待っているという果たし状だった・

南郷はまた新たな植木鉢を松山家の門柱に置き、険しい表情で帝王剣を持ち直した。

そのころダイナステーションでは、夢野博士が南郷を必死に呼び出そうとしていた。
弾たちも南郷がどこにもいないこと、例の妙な剣を手に入れてからおかしくなったと話していた。
だがレイが、おかしかったのはもっと前だとして、隠れるように植木鉢を持ち出すのを何度か見たと説明。
弾たちはその植木鉢の線から南郷の行方を捜査しようと計画を立てた。
博士はあの剣を一目見たときから嫌な予感がしていたといい、恐ろしいことが起こるような気がすると心配していた。

松山家の姉弟が南郷から贈られた植木鉢を抱えて、何かを探しているのを弾が見つけた。
植木鉢が南郷の物だと気づいた弾は、姉に声を掛けた。
その植木鉢について説明を求められ、姉は両親が有尾人に殺されたということを話した。
今日届けられた花は「ミヤコグサ」、花言葉は「敵討ち」。
姉は花を届けてくれる人に何かあったら、と心配で探していたのだと言う。
弾はさらに説明を求め、両親が亡くなったのは、万年山の千石が原でピクニックをしていたときだというのを聞き出した。
不安がっている松山姉弟に弾は、必ずまた植木鉢は届くと言い、鋭く前を見据えるのだった。

万年山の千石が原では、南郷が松山姉弟の両親を殺した張本人、ゼノビアと向き合い、姉弟に代わって敵を討つと宣言していた。
そこへダイナマンの4人も到着。その様子はグランギズモでモニターを通してアトンも見ていた。
アトンの怒りはすさまじく、念力を帝王剣へと飛ばし、帝王剣の恐ろしさを見せ付けてやると息巻いていた。
念力を送られた南郷はもがき苦しみ、その場へと倒れこんだ。
あわてて南郷のもとに駆け寄るダイナマン4人。
そこへ、空が暗くなり、ある人物の姿が映し出された。
ゼノビアの言葉からそれが帝王アトンだと知るダイナマン。
アトンは帝王剣を持った人間は、狂い死にするだけだと高笑いして消えた。
南郷が苦しむ姿を見て、ゼノビアは帝王剣を汚した罰が下ったと宣告。
ブラックとブルーが南郷の手から帝王剣をもぎ取ろうとするが、吸い付いていて離れない。
南郷のことを心配するダイナマンにゼノビアがひとつだけ帝王剣を取る方法があると教える。
それは、生きた人間を斬ること。生きた人間の血を吸わせれば帝王剣は手から離れるという。
気力を振り絞ってゼノビアに突進する南郷だったが、南郷が切り付けに来る直前にゼノビアは姿を消した。
南郷は帝王剣を振り回しながら走り去って行った。

どんどんエネルギーを吸い取られていく南郷。力の続く限り有尾人をやっつけてやると決意するが、すでに足はふらふらになっていた。
そんな南郷の元へ弾が現れた。だが、衰弱した南郷の目には、弾が尻尾兵に見えてしまい、南郷は闇雲に帝王剣を振り回した。
南郷を抱え込み、何とか正気に戻そうと弾は南郷の腕を掴み、自分の腕に剣を振り下ろした。
腕からは血が流れ、苦痛に顔をゆがめる弾。
弾の捨て身の作戦によって帝王剣は南郷の手から離れ、宙を舞った。
正気に返った南郷は、弾の傷を見て愕然とする。弾は「血を吸わせてやっただけ」と微笑んだ。
星川たち残りの3人も駆けつけてきた。
帝王剣をゼノビアが手にしたとき、辺りが急に暗くなり、怪しい声が聞こえてきた。
そしてアトンの寝所に忍びこんだ仮面の男が現れ、「闇の使者ダークナイト」と名乗る。
全ては自分が仕組んだことだと高らかに笑うダークナイト。
ゼノビアはダークナイトもやっつけるために、尻尾兵たちに立ち向かわせた。
5人はダイナマンに変身し、尻尾兵たちと渡り合う。
一方、ダークナイトも複数の尻尾兵と戦っていた。
その剣の威力はすさまじく、一撃で尻尾兵を蹴散らしてしまった。そして、ダークナイトはダイナレッドに挑む。
挑戦を受けたレッドもそれに応じ、一騎打ちが始まる。
ダークナイトが優勢のまま戦いが進むが、その様子を遠くで見ていたキメラがマサカリベアーに2人まとめて始末することを指示。
横槍を入れられたダークナイトはそのまま消えた。
マサカリベアーはダイナマンだけでも倒すために立ち向かってきた。
だが、マサカリベアーはニュースーパーダイナマイトで倒されてしまい、ビッグバンビームで巨大化した後もダイナロボによって倒されてしまった。

グランギズモでは、ゼノビアが帝王剣をアトンにうやうやしく差し出し、アトンもそれを受け取った。
そしてダークナイトの正体に思いをはせる。尻尾がなかったから人間だろうか?
だが、人間ならば地底の奥深くにあるグランギズモにたどり着くことはできない。
敵なのか味方なのか、ダークナイトについての謎は深まるばかりだった。

松山家にはまた新しい植木鉢が届いた。
カズオもようやく心を開き、植木鉢が届いたことを喜んでいた。
届いた花の花言葉は「平和」。
そっと松山家を離れた南郷の元には仲間たちが駆け寄り、南郷をからかいながら基地へと帰っていった。

コメント…

ダークナイトの登場編です。ダイナマンはともかく、ジャシンカの面々も全くその正体に心当たりがないようです。
そして、意外にも!今回、空に浮かぶ幻影として帝王アトンが現れますが、これがダイナマンとの初めての顔合わせということになります。
これからダークナイトも巻き込んで、新たな戦いの局面が幕を上げました。
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