第31話 スパイ有尾人の罠 

監督/堀 長文  脚本/曽田博久  放映日/1983年9月3日

踏み切り近くの一軒家、尾形家に意外な人物が現れた。その人物とは、メギド王子とキメラ王女とカマキリシンカ。尾形家の主・伸夫と妻・京子は10年前、スパイとして人間界に潜り込んだ有尾人だったのだ。
尾形家に上がりこんだメギドたちは、尾形夫妻の息子・和夫が弾北斗と仲がいいことに目を付けていることを明かした。

公園では、その和夫が弾に剣道の稽古をつけてもらっていた。何度打ち込まれても果敢に立ち向かっていく姿に、弾も嬉しそう。少し前までは和夫が周りが心配するくらい体が弱かったのだ。

尾形家では、伸夫がメギドとキメラに対して、息子には自分たちが有尾人であることを話していないことを打ち明けた。そのことに対して怒るキメラだが、メギドは理解を示した。だが、夫妻に対しては容赦しない。弾北斗を倒すため、メギドは和夫の誕生日パーティーに弾を招待するよう、夫妻に命じた。

弾は和夫への誕生日プレゼントを持って、招待された洋館を訪ねた。弾が来てくれたことに大喜びの和夫。メギドは尾形夫妻に毒入りのワインを差し出し、弾に飲ませるよう命令する。弾に飲ませると同時にカマキリシンカが襲い掛かるという計画だった。
弾のプレゼントのケーキに立っていたロウソクを和夫が吹き消し、乾杯を、ということになった。震える手で弾にワインを渡そうとする伸夫と、思わず制止しかける京子。だが、弾の答えはオートバイで来ているので飲めない、というものだった。忌々しげに舌打ちする隠れているメギドと、ほっとしたような表情を浮かべる尾形夫妻。
気が緩んだのか、伸夫はワイングラスをひっくり返してしまった。途端にトレーやテーブルにかかった液体から煙が立ち昇った。不穏な空気が部屋を支配した一瞬の間に、隠れていたカマキリシンカたちが弾に襲い掛かった。
尻尾兵が弾を襲っている隙に、尾形夫妻は和夫を連れて逃げ出した。
苦戦する弾のもとにブラックたち4人も駆けつけ、一気に形勢が逆転した。

逃げ惑う尾形一家の前に、メギドとキメラが立ちはだかった。そして、夫妻から和夫を引き離し、キメラが連れ去った。メギドは夫妻に向って「ダイナレッドを葬らない限り、お前たちの役目は終わらない」と言い放つ。
自分たちを探しに来た弾に対し、尾形夫妻は和夫が崖から落ちたと泣いてみせた。驚いた弾が崖を覗き込んだとき、尾形夫妻は弾を突き落とそうとした。だが、弾が素早くよけ、バランスを崩した夫妻の方が崖から落ちそうになった。夫妻から飛び出た尻尾をつかみ、弾は2人が崖から落ちるのを防いだ。
その尻尾を見た星川たち4人が驚いて駆けつける。弾を突き落とそうとしたことを口々に責める4人だったが、弾がそれを止める。

夫妻は、自分たちが10年前に送り込まれた有尾人のスパイであること、メギドに言われて弾に罠をかけたこと、和夫は両親を含めて人間であると信じていること、もし有尾人であることを知ったらショックを受けること、をダイナマンに話した。そして、人間の世界がすばらしい事に気づき、このまま人間として、親子3人静かに暮らしたいと願っていることを打ち明けた。

そこへ、弾宛に手紙が取り付けられた刀が飛んできた。和夫を助けたければ、弾1人で来い、その文面を見た弾は、1人駆け出した。「有尾人の子どもでも、人間の子どもと何も変わらない」、そういい残して―。

1人現れたダイナレッドに容赦ない攻撃をかける有尾人一族。和夫を人質に高みの見物を決め込んでいたメギドたちの前に2人の尻尾兵が現れ、和夫を連れ去った。2人の尻尾兵の前にカマキリシンカが立ちはだかり、2人を襲った。和夫だけを逃がし、カマキリシンカと対峙する2人だったが、全く歯が立たない。そこへブラックが救援に駆けつけた。他の3人も、尻尾兵相手に苦戦するレッドの救援に駆けつけた。和夫を連れ去った2人の有尾人は、尾形夫妻だった。尾形夫妻を逃がし、ダイナマンと有尾人一族との決戦が始まった。

尻尾兵を個人武器で倒し、カマキリシンカには、ダイナ剣とクロスカッターで攻撃。スーパーダイナマイトとダイナロボでカマキリシンカを倒すことに成功した。

尾形一家は引っ越すことになった。結局、和夫は自分たちが有尾人であることを知ることはなかった。笑顔で見送るダイナマンたちは尾形一家の幸せを願うのだった。
コメント…

少し重い感じのするエピソードでした。救いは、尾形一家がジャシンカ帝国にもダイナマンにも倒されなかったことでしょうか。
異形なものを全て排除するわけではない、ということを打ち出したということで、画期的なことだと思います。
この後、いつまで両親が和夫くんに有尾人であることを伏せておけるのかは疑問ですが…。(なにしろ、有尾人は卵生ですし^^;)
私も尾形一家の幸せを願いたいですね。
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